家賃増額の解決事例を御紹介します

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京橋総合法律事務所 弁護士 松浦裕介

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事  例

 Aさんは、都心の一等地に築30年の賃貸用マンションを所有していました。101号室には新築当時よりBさんが居住しており、入居時に賃料月額5万円と定めて賃貸借契約書を作成しましたが、その後契約期間が満了しても書面は作られていませんでした。 周囲の部屋は賃借人が何度か入れ替わり、賃料は近隣の相場に合わせて概ね月額15万円程度となりました。Bさんの部屋の賃料だけが同じ広さの他の部屋の約3分の1というアンバランスな状態になってしまいました。
 AさんがBさんにこの状況を説明し、家賃の値上げをお願いしたところ、Bさんは「30年前に作った契約書があり、同じ条件で契約が自動的に更新されているのだから、家賃を上げることはできないはずだ」との回答でした。 また、Aさんが知り合いの不動産業者に相談したところ「契約書のことはわからないけど、この頃は地価が下がっているのだから、値上げは無理ではないか」と言われました。 納得のいかないAさんは、私のところに相談に来られました。


解  決

 Aさんから委任を受けた私は、Bさんと面談の約束を取り付けました。私が賃料の増額に応じて頂きたいと申し上げると、BさんはAさんに答えたのと同じ主張をされました。 そこで私はBさんに対し、法律上、賃貸借契約は同条件で自動的に更新されるが、賃料が不相当となった場合には賃料増額請求はいつでも可能であること、現在の賃料は相場とかけ離れていることを、できるだけわかりやすく説明しました。
 Bさんは「あなたの言うことはわかったが、Aさんの代理人の話を鵜呑みにするわけにはいかない」とのことでしたので、私はBさんに「法律相談に行くなどして弁護士の意見を聞いてからでも構わないので、必ず返答して欲しい」と伝えました。 しばらくして、Bさんの委任を受けたC弁護士から私に連絡がありました。C弁護士は賃料増額請求が可能であることは当然認識しており、現在の賃料が相場よりも安いことを認め、一定の範囲でなら増額に応じるとのことでした。 その後、弁護士間で賃料相場等に従った適正賃料について議論を重ね、およそ1か月後に、賃料月額13万円で合意に至りました。


解決のポイント

1. 不相当な賃料は一方的に上げられる!
 貸主、借主を問わず、「合意で定めた賃料を一方的に増減額することなどできるはずがない」という誤解をされている方は沢山いらっしゃいます。
 しかし、法律は、貸地・貸家を問わず、賃料が不相当となったときには貸主から増額を、または借主から減額を請求し、適正な賃料に改定できることを明確に規定しています(借地借家法11条、32条等)。
 大切なことは、賃料が不相当と評価されるのはどういうときか、適正な賃料はどのように算出すべきかということです。この判断は、一般の方には難しい面があることは否めません。

2. 地価下落の局面でも賃料増額が出来る!
 次いで多い誤解が、「バブルの頃に上げなかった賃料を、地価下落の今になって上げられるはずがない」という誤解です。
 繰り返しになりますが、大切なのは現在の賃料が不相当か否か、不相当だとすれば適正な賃料はいくらかということであり、地価の下落が続いている時期だからといって、必ずしも賃料を上げられないわけではありません。
 もっとも、最後に賃料の合意をしたときと現在を比べ、現在のほうが地価が下がっているときには、賃料増額はやや困難になります。上記のケースでは、賃料の最終合意時点は30年前ですので、当時と現在を比べれば地価は大幅に上がっています。最後に賃料を合意したのはいつか、その当時と比べて現在の地価が上がっているかという視点は重要です。

3. 賃料増額請求は費用対効果をよく考えて!
 例えば20%の賃料増額を勝ち取った場合、賃料月額200万円の事業用物件の場合には年間480万円の利益になりますが、月額15万円の住居であれば、年間36万円の利益に留まります。賃料増額の手続にかけるコストは、このリターンに見合った範囲に収めるべきです。 さほど賃料の高くない住居のケースで、不動産鑑定を依頼して30万円、裁判書でも鑑定をすることになり更に30万円、裁判に1年以上…といったコストを掛けるべきかは疑問があります。それだけコストを掛けた挙句、借主が1年後に退去したときの脱力感は想像を絶するものがあります。上記の例のように、適正賃料よりは若干低い賃料でも、早期に和解することが利益となるケースが多いと言えます。

 

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